[コメント] 理由なき反抗(1955/米)
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思春期の悩みを取り上げた作品であり、その象徴的な存在としてジャームズ・ディーンが主演のポジションにいるのだが、決して主演の彼ひとりの思いだけをフューチャーするのではなく、その悩みを万人共通のものとして描いたことが良かったと思う。台詞でも語られるとおり、「誰もが」通る思春期の悩みだからこそ、主演俳優の悩みに限定しなかったことで感情移入がしやすくなっていたように思える。
ただ、それでもジェームズ・ディーンをなくしては語ることができない映画であることも確か。その出で立ちに反抗期の風格が漂いつつ、孤独に悩む青年の寂しさも表情に見え隠れする。わずかな主演作のみしか残さず事故死してしまったゆえに神格化されている部分もあるとは思うが、それでも“理由なき反抗”という素晴らしいタイトルがこれほどまでに似合ってしまう俳優は、おそらく彼しか存在しない。その風貌こそが、彼の才能であり、赤いジャケットを羽織ったディーンは最高に格好良いのだ。
また、加えて良かったのは舞台設定だろう。レース対決が行われる崖にしろ、序盤とラストシーンで登場するグリフィス天文台にしろ、その近くにある空き家にしろ、どこか隔離された雰囲気、終幕的な雰囲気が漂う場所が多く登場する。それが、この映画が描く孤独感に直結するような気がしてならなかった。
思春期の悩みなんて、人生においてはいずれそこまで大きなものでなくなってしまう。だが、あくまで登場人物たちの感情に合わせると、それはとてつもなく大きなものとして立ちはだかる。それが、彼らが立つ場所からも伝わってきたのは大きかった。
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