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[コメント] 椿三十郎(2007/日)

オリジナルはリメイクよりも30分程度短かったと思いますが、その30分が非常に無駄だったと思います。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これ見よがしなアップの多用とか、見ごたえのない殺陣を長々やるとか、再現シーンをスローモーションで見せるとか、正直邪魔でしょうがなかったです。特に殺陣のシーンはぶつ切りカットで全く見ごたえがなかったし、織田三十郎はもうすぐ四十郎でもないくせに、ものすごく体が重そうだし、無駄な殺生のあのシーンなんてお昼の時代劇を見ているようなチャンバラで「あー敵が斬られるのを順番に待っているー」って思わずウヒョーとなってしまいました。

でもこういうのってやっぱり織田裕二を責めるのは可哀想な話で、ここでは三船敏郎の大スター性を褒め讃えるべきなのです!!!全くもってそうなんです!!!もうもう見ている間中、三船三十郎に会いたくて会いたくて…(実は今年の4月に初めて見てから何度となく見ているんですけど)。三船さん大好き大好き言ってる私なんで、これ以上実感する事はないだろうって思ってたけど、またしても実感してしまった、三船さんの素晴らしさをー。だから織田裕二は悪くないと思うよ。もうしょうがないよ。

唯一織田さんを責めるとするならば、自分自身どう演じたかったのか、それが伝わって来なかったところですかね。台詞回しは完全に三船コピー。語尾の三船訛りまで完全コピってましたけど、それに何の意味があるのか。織田三十郎らしさって何なのさ。模倣するだけなら私だって出来るぞ。いっつも三船さんの真似してるもん。それよりギロっとした目つきを見てたら、室戸役の方が良かったんじゃ…とも思いました。

そんな室戸は仲代さんの模倣ではなく、自分なりに演じていた豊川悦司に好感が持てました。強そうに見えないし、殺気も全然なかったけどね。

全体を通して軽い印象なのは、そういう室戸をはじめとするキャラの軽さなんだと思う。他にも無駄な殺生後に一息ついて若侍たちを叱りつけるあのシーン。ふっわふわ。かる〜い。三船さんは本当に肩で荒く息をして、疲労困憊の中、力を振り絞って叱っていました。きっと殺陣のシーンを撮ってすぐこの撮影に入ったんだろうなって思います。すごくリアルだったし説得力もあってかっこよかった。でも織田三十郎は「はい、次のシーン行きまーす」「準備OKでーす」「よーい!」「・・・ゼィゼィ」ってなんか作り物っぽさ全開なんです。そういう軽さのせいで要の台詞も全部浮いてくるんです。「あの人はいい人だ!」「あの人の癖なんです!」とか全然地に足ついてない。だってそう見えないんだもの。この台詞は三船三十郎その人に対して書かれた台詞だから活きてこないのは当たり前なんだけど、他にも奥方のバカがつくほど穢れのない心とか、そういうのも全然伝わって来ない。

ストーリー展開は確かに面白い。脚本が素晴らしいから。面白くない訳がない。真っ白の椿がザワザワと流れてきたあのシーンは鳥肌が立ったよ。本当。でも展開の面白さに勝るとも劣らない面白さって、オリジナルにはあったよね?三十郎に叱られてでもついて行きたいって思えたよね?オリジナル未見で、でもこの作品を見て面白い!と思った人は是非オリジナルを見て欲しいです。もうそれだけがこの作品の存在意義だと思うから。

あと最後に。カラー作品てこんなに汚いものだったのか?と愕然としてしまいました。なんか美しくない、全然。モノクロなのに色を感じる事が出来たオリジナルはやっぱ本当に本当に本っっ当ーーーーーーに!すごいんだわ。

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08.09.01 記

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] ぽんしゅう[*]

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