[コメント] アイ・アム・レジェンド(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
出来として決して悪い作品ではない。むしろネタとしてB級SFにしかならない作品を、よくここまで人間中心の物語にしたとは思う。 だから本作はSF作品と言うよりは究極の孤独に耐える人間ドラマとして観るべき作品だろう。
本作を人間ドラマと限定して考える限りは色々なものが詰め込まれている。自分以外の仲間が誰一人いない中、精神的な安定を保たせるために出来る限り人としての生活を送ろうとする姿勢や、そんな中突然現れた人間に戸惑いを隠すことが出来ない、そんな人間を演じたスミスの好演が光る作品とは言える。スミスは『アイ,ロボット』(2004)に続いてSF大作の主演だが、SFとは割と相性が良いようだ。監督のローレンスも前作コンスタンティン(2005)のようなCGに頼った姑息な演出ではなく、人間の描き方も上手くなっている。
無人のマンハッタンを使った遊びもたっぷりあって、特に前半は楽しめる。人の全くいなくなったブロードウェイの看板とかにも結構遊び心が込められてたりする(バットマンの模様の胸に「S」の字が光ってたりとか)。
ただ、これをSF映画として観てしまうと山ほどツッコミ所満載になってしまうのがちょっと問題。そう言う事を気にしてしまうとどうしようもないが、どうしてもそう言う目で見てしまう自分がいる。
いくらでも出てくるが、本当にちょっとだけ以下に。嫌な思いをする可能性があるので、閲覧はご注意を。
<ミュータント化した人間はダーク・シーカーズと呼ばれるらしいが、他のリビングデッドものとは異なり、かなり知性が高いのが特徴的。ロバートに対して、かつてロバート自身が使った複雑な罠を仕掛けてみたり、こっそりロバートを観察して住んでる家を突き止めてみたりと、これまでにない知性を持っている。これが本作の面白い点なのだが、そこから基本的に逃げるだけでそれに対抗する手段をロバートは取っていない。実際ニューヨークから逃げ出して郊外に移るとか、完全密閉式の要塞を作って、そこで寝泊まりするとか、最低でも塒を複数用意しておくべきなんだろうけど、基本的にその対抗手段を一切取ってないために、ちょっとしたミスで全てを失ってしまう。ロバートはそこまでセンチメンタルだったのか、それともどこかに自殺願望があったんだろうか?
最初の鹿狩りのシーンがある。多分これは鹿にはウィルスに耐性があるという事だろうけど、犬は耐性を持ってないのだから、サムに噛みつくよう命令するのはまずいだろ?そう言えばライオンとか鳥とかもいたけど、犬は駄目だって理由は一言説明しても良かったんじゃない? ダーク・シーカーズは感染した犬をペットのように使っていたけど、人間でさえあれだけ知性を減退させるのに、犬は飼い慣らせるものなの?
ロバート自身は自分が地球最後の男と思っていたようだが、ちゃんと横のつながりはあったことが最後に発覚。かつてロバートは遺伝子治療のホープで雑誌にも載ってた位なのに、3年の間誰も接触しなかったのも妙な話。
致命的なのは、タイトルは「I am Legend」なのだが、ラストシーンで「He is Legend」と言わせてしまったことかな?タイトルに帰って欲しかったもんだ。>
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。