[コメント] ジェシー・ジェームズの暗殺(2007/米)
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ジェシー・ジェームズって、アメリカ一の早撃ちだということ以外知識はなかったし、しかもそれはわが子供時代のガキ同士の会話で得たものなのだ。
最初はアメリカで超有名な人物たちらしいことで説明が不足しており、日本人にはその人間関係が難しく、演出も二人の心理描写をじっくり描写しているので娯楽性があるわけではないが、映像がすこぶる美しい。
特に遠近のカメラ多様による自然描写の絶品さ、心理描写を盛り上げる主役二人の繊細なカメラ描写等々驚くほど映画マニア的な手法なので、ぐいぐい画面に入り込むことが出来る。
俳優陣は、意外とワルで感情の起伏の激しいジェシーを陰影のある演技でブラピが好演。こういう内面的な演技付けが可能な役をしたかったんだろうなあ。むしろ地味な役である。
彼を食ってしまいかけていたのが主役ケイシー・アフレックだろう。ジェシーを慕いつつも、それが嵩じてジェシーを憎み始めるその心理過程を完璧に近い演技力で演じ切っている。
彼ら二人だけでなくジェシー一味がだんだん閉所で自分自身を見失い仲間内で殺戮し合っていく過程は、何故か日本の連合赤軍的な雰囲気もあった。
また、ジェシーとロバートの相関関係は自己崩壊のような感覚もあり、ユダがキリストを裏切ったそんな宗教的な提示も見え隠れする。(二人の父はそれぞれ牧師だ。)
かなり重層的な壊れゆく2人の道行き(3人ともいえるが)とも言えるラストの暗殺は映画ではジェシーのむしろ自殺的行為だったような美学に収めており、映画的余韻が素晴らしい。力作だ。
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