[コメント] アメリカン・ギャングスター(2007/米)
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リドリー・スコット監督、デンゼル・ワシントン&ラッセル・クロウ共演のギャング映画と聞いて観たくならないわけはないし、もちろん緊迫感あるギャングアクションとして一定のレベルは保っているのだが、残念ながら高められる期待の最低ラインをなんとかクリアしている程度に収まっている映画だ。
不正な麻薬取引でのし上がるデンゼル・ワシントンと、それを正義として取り締まるラッセル・クロウ。両者の役者としての存在感はさすがのもので、両者が同じシーンで共演するところでは演技としての緊迫感が高ぶっていて非常に良かった。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの『ヒート』を彷彿させる。
だが、基本的には両者で別々の物語が進行してしまい、どうもうまく絡んでこない。それぞれ、家族にまつわるエピソードが語られるが、交互に語っていくことでぶつ切り感が際立ち、それぞれの人間ドラマに入っていきづらかった。上映時間が長い、と感じさせてしまった理由はそこにあるように思う。
こういったギャング映画での醍醐味はやはり男のドラマであるべきで、そこを掘り下げられなかったところでこのジャンルの名作には到達しないのだ。クライマックスの突入シーンにあった銃撃などアクション的な迫力や、ボクシング上で両者が初めて同じ場に立ち会うシーンにあったサスペンス的な緊迫感は見事なのだが、そういった表面の良質さに留まってしまったのは非常にもったいない。
重厚なようで、意外と軽薄な映画に見えてしまいました。
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