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[コメント] 奈緒子(2007/日)

極めてシンプルなストーリー構成である。幼児期のアクシデントを巡って憎悪を忘れない少年と、その憎悪の対象であった少女の間の雪解けが完了するまでの軌跡。そしてそれは、少年の目的の完了をもって終止符を打つ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







上野樹里が少女に見えないなどということは、実際どうでもいい。余計な恋愛感情を交えず、癌で死にゆく陸上部監督に過度の同情をかける事もなく、少年が見事に栄冠を戴くまでをカメラは淡々と、かつ執拗に追う。それだけにこのタイトルを不思議に思ったりもしたものだが、あくまで彼女の目から殆どのファクトを目撃するストーリーなのだからこれでいいのだろう。

で、朴念仁といわれようと、下手な笑かしや心弾ませる恋愛話抜きで、今こうしたスポーツものを描く心意気に自分は感服する。全てを賭けてこそのスポーツであり、あらゆる夾雑物を取り払ってこその青春物だと考える自分には、スポーツものとしては成功作とこの映画を呼びたい。駅伝ファンではない自分だが、この競技が根強いファンを持つ要因は、やはり運や遊びに左右されない実力の世界だからだろう。そういう意味では、長距離走は極めて映画向けの題材であり、今後も名作を生むモティーフになってゆくものと信じる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tkcrows[*] チー[*]

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