オープニングのミニチュアの風景からホテルの室内に画面が変わっても、セリフが一つも流れなくて「あれ？サイレント映画かな」と一瞬思ったんですが、ホテルのドアが強風で開いた途端、なだれるようにお客の雑踏音が入り始めたんでドキッとしてしまいました。ああいう音の使い方も面白いですね。前半はコメディ色が強く、いろんなドタバタ劇を見せてくれます。タキシード姿が格好良かった英国紳士が、今度は情けない下着姿で二人仲良く新聞読んでたり、ホテルの個室で中年連中がドタバタ踊っていると、下の階のアイリスに「うるせー！」とホテルのボーイを呼んで一悶着するシーンなんかは下らなくて笑えます。前半のホンワカとした雰囲気はとても好きですね。僕も外で演奏している人の演奏を聴きながら、個室で酒でも飲みたいなと思いました。殺されちゃって残念だけど、なんで殺されたのかな。わからん

列車に乗り始めると途端にサスペンス調が強くなります。いきなり何者かが落とした植木鉢にアイリスの頭に直撃し「フラフラ…」になり記憶が消えていくイメージ的な映像が素晴らしく、楽しい列車での搭乗シーンが一気に不安にさせるあたりも流石です。あとアイリス以外は隣にいたバアさんの存在に気づかない展開とか、バアさんが窓に書いた文字が浮き出るシーンだったりと色々ギミックがあるんですよね。さすがヒッチコックだなぁと思わせる作品です。終盤は銃撃戦まで発展しちゃって、その銃撃戦が結構激しくて人がバンバン死ぬんですよ。レビューでくたーさんも書いてましたが、僕もホンワカした感じで観ていて居心地が良かった分、ある意味驚きましたが死んでほしくなかったな。しかしアイリス可愛いよね、眠らないように一生懸命屈伸運動していた姿が忘れられない。尻をパシーンと叩きたくなりますね。あとラストで結婚相手の男が待ってるのに、ギルバートに行っちゃった時も「あのおてんば娘が…」と妙に女性的な部分を観ちゃってニヤニヤしちゃいました。