[コメント] 逃走迷路(1942/米)
不信の時代。やがて戦いは終わり、民主主義の勝利が高らかに告げられた後も、なおその不信は終わらないことを彼らは知らない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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・・・という政治的なことはこの際どーでも良いのかもしれませんが。
それにしても、強引に詰め込まれたプロパガンダな要素が、全体の流れを阻害している気がしてならない。一介のしがない工員が、話が進むにつれて妙に能弁になる展開が、正直キモチ悪いし、合間の恋愛沙汰と愛国主義の高揚がごっちゃになっている印象もあるし。プロパガンダと映画の完成度は切り離して考えるべきかもしれないけど、それならプロパガンダとロマンスも、ある程度は切り離して描いて欲しい。個人的には。
とはいえ、いつもながら見ドコロは満載。心優しき下層階級と危機感に鈍感な富裕層、というストレートな構図ではあるけど、サーカスの団員それぞれが、善いヤツもいるし感じ悪いヤツもいるし、という公平性を重んじた描き方は面白かった。そしてクライマックスの自由の女神はやはり屈指の名場面だと思うが、その前の映画館の銃撃シーンも素晴らしかった。ヒステリックな笑いが恐怖の叫びに変わる、絵空事が現実のものとなる、その転換の鮮やかさ。
あ、あと冒頭と終盤が「女に見とれることが命取りとなる」符号でキッチリ合わせてくるトコロも心憎い。こういうトコロが非常にチャーミングです、監督。
(2007/1/12)
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