[コメント] インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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今回のシリーズ4作目は一作目から数えて27年が過ぎ、スピルバーグ監督も還暦を超えて、人生を達観したかのような感がある(早い話、力が抜けちゃったわけだが)。
(達観その1)インディが核実験場に迷い込んだ末に、鉛の冷蔵庫の中に避難して核爆発から逃れるシーン。確かに鉛は放射線を吸収するし、放射性物質を封印する容器の素材にも使われる。けどねぇ、核爆発の熱線で鉛は融解しますがw。結局これは、その冒頭にアトミックカフェが写されているから、明らかに『アトミック・カフェ』を風刺したシーンなんだけど、実際、核の知識(というか知性全般)に乏しい連中が見たら、真に受けること間違いなし。即ち、鉛の冷蔵庫がシェルターになるって思ってしまう一部の観客大衆そのものを風刺しているわけだ。未だに核を根絶できない馬鹿相手に娯楽を提供してきた監督自らをも風刺している感がある。分かる奴には分かるだろうと思ってるし、わからん奴が誤解することも気にせず撮ってんだろうね。まぁ、大人って事ですかね。
(達観その2)『未知との遭遇』に登場したE.T.が再び登場!E.T.が睨み付けるシーンは、ありゃ、完全に過去の自己否定だねw、笑った笑った。深〜く深く映画を撮っていると、最期は自分すら否定するコメディに行き着くってのは、案外ホントかも知れない。
(達観その3)で、結局マリオンと結婚。しかも実の息子付き。自分がやりたい放題生きてきて、子育ての葛藤や悩みなんかには煩わされず、都合の良い時期に青年となった息子と再会した挙げ句に、「やっぱりお前が一番」・・・って、これはアメリカの地方の中流のオヤジ連中の夢なんだろうな。スピルバーグもルーカスも、どんな連中が自分たちの映画を見るのかを、よく知っているよ。素晴らしいオチであったw。
ドタバタアクションコメディとして、色々楽しめた・・・つうか、見ている途中から「スピルバーグとルーカスが思い出話をしてる」って思えてきた。爺さまが縁側に座って、自分の過ごしてきた人生を語るように、チョットだけ自分を否定しつつ世間の馬鹿さ加減に嫌気がさすでもなく。
次は、是非とも人間の臨終を面白可笑しく撮って欲しい。
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