コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ロープ(1948/米)

この作品には実は元ネタが存在する。1924年にシカゴで実際に起きたロープ&レオポルト事件がそれ。殺人を犯した二人ともIQは200を超え、動機らしい動機が見つからなかったため、現在に至るも犯罪心理の格好の研究材料となっている。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実在する殺人事件という素材を使いつつ、あくまで自分の映画としてヒッチコックは作ってくれた。動機も何も無く突然殺人事件が起き、ただその行為のみを主題とするのはなかなか大胆な試みと言えよう。

 そこに展開される心理的緊張感は、確かに多少甘いところも感じられるけど、見応えがある。パーティを企画した張本人で、まるで綱渡りを楽しんでいるようなブランドンと、恐怖感から落ち着きのない行動をとるフィリップ。何となく刑事コロンボを先取りした感じで展開する物語だが、この作品で何より目を惹くのはその特殊なカメラ・ワークだろう。

 中心となる物語で一切のカメラ切り替えが無く(正確には、ちゃんと切り替えはされている。だけど、それを感じさせないように作ったと言う事実が凄い)、一台のカメラで撮り切るという、ほとんど実験的とも言える手法は、本当にヒッチコックとは、凄い監督だったんだ。と思わせるには充分で、私はむしろストーリーより「まさかこのまま撮り切るのか?」と言う疑問の方が先に来てしまった。その意味では純粋に物語を楽しめなかったかもしれないな。

 又、カメラ・ワークでは細かいところで笑える部分をふんだんに用いているので(窓の外の風景の変わり具合とか、人の移り変わりとか。特にこの映画での監督の登場シーンは…)、これは繰り返してご覧になることをお勧めしたい。私も是非又観てみたい。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)たろ[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] ina らーふる当番[*] スパルタのキツネ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。