[コメント] トウキョウソナタ(2008/日=オランダ=香港)
人が感じる辛さや忍耐強さのバロメーターは十人十色。母親が唐突にファンタジー突入なのに驚いたが、でもあるよね、「何でそんな程度で落ち込んでるの?もっと酷い人は沢山いる」って風潮。誰しも一度や二度思ったり思われたり。子供に不寛容な父親に対し寛容さを見せる母親へのひとときの残酷な癒し。この役所絡みのパートは要らない様で実は非常に重要な気がした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇中、父親の父権ってものが散見されたがそれはこの家族においては鬱陶しい以外の何物でもないという描かれ方。結局、この家族をなんとか家族たらしめているのは母親であって。母親の「今までが全部夢だったらいいのに」という一言がその苦労を端的に表してる。
ラストもなんとな〜く、息子の音楽家としての未来を示し、家族再生のような感じだが、そうとも言えない。 息子が流麗にピアノを奏でる傍らで、父親は涙目、かたや母親はどこか虚ろ。戻るべきは我が家。でも戻っても悲しいかな彼女は幻想空間に片足入れてしまってる様が見てとれる。
個人的に家族が崩壊してしまう映画など率先して観たいと思わないが、この家族内に埋め込まれた「回路」の不整脈ぶりが、やっぱホラーだなと。黒沢監督だなと。
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