[コメント] TOKYO!(2008/仏=日=韓国=独)
この種のオムニバスでは約束事に囚われぬ者が勝つのがならいで、要するに才能の差をまざまざと見せつけてカラックスの圧勝。「東京」の固有性などまるで無視。「主演は日本人で」との暗黙の縛りもあっさり放棄(で、引っ張ってきたのがこともあろうかドゥニ・ラヴァン!)。ややもするとこれはカラックスの最高作。
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と、こうまで私がレオス・カラックス篇に惚れ込むのはラヴァンに驚かされたことも大きい。いつの間にこれほど凄い役者になっていたのだろう。その身体の操作の独創性はもはやジャン=ピエール・レオーやグルーチョ・マルクスの域に達している(さすがに誉め過ぎか?)。また、監督は三者とも異世界としての「TOKYO」を描いているわけだが、それもカラックスが最も徹底している。全篇をほとんどギャグとハッタリだけで埋め尽くし、どこの国にもありはしないだろう下水道・留置所・裁判所を作り出してこれがTOKYOだと居直り、かと思えば最後には「こんなお話はニューヨークでやってもよかったんだよ」と自ら暴露する。最高。
ミシェル・ゴンドリー篇は、ゴンドリーならこれぐらいやるだろうなという程度にファンシーで可もなく不可もないが、ファンシーでありながら貧乏を貧乏臭く描けているのは偉い。東京の風景の力だろう。加瀬亮は(彼の演技の抽斗の中で云えば)私の嫌いな部類の演技を披露しているけれども、ゴンドリーの世界とはよく合っていて、悪くない。藤谷文子もいい。
ポン・ジュノ篇については、画のタッチがちゃんとジュノの映画になっていることに感心した。主要スタッフは日本人で固めているにもかかわらず。やっぱり画作りにも相当介入する監督なのだなあと。
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