[コメント] 僕らのミライへ逆回転(2008/米)
映画は製作者たちの創作物であると同時に、観客にも創造力を要求する。劇中のマイクとジェリーのリメイク作同様、主題に据えられた映画をめぐる原点回帰願望の描き方も少々荒っぽいので分かりにくいのだが、これはゴンドリーによる観客に対するアジテーションだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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もし私たち観客が、量産される定番化したハリウッド作品群に少しでも飽きを感じていたとしたら、それはあなたたち観客の責任でもあるのです。何故なら映画を観るという行為は、作るという行為と同じぐらい創造力が必要だからです。そうミシェル・ゴンドリーは指摘している。
もちろん、映画を観るには芸術を解するためのそれなりの教養や感性が不可欠だなどと、高邁なことを言っている分けではない。十人いれば十通りの感情があり、その思いを素直に映画にぶつけることが、すなわち見る側の創造力なのです。作り手と観客の間に生まれる信頼と幸福。それが「映画」ですよね。
伝説のピアニストの伝記映画を嬉々として作り上げ、自らに喝采を浴びせる街の人々の姿に託して、「そんな当たり前のことを、観客のみなさんはいつの間にか忘れていませんか」とゴンドリーは呼びかけているように見えた。
ミア・ファローとシガーニー・ウィーバーが、いかいも彼女たちらしい役柄で、見ていて思わずニヤニヤしてしまう。
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