[コメント] つみきのいえ(2008/日)
地球温暖化がどうしたというお題目は聞きたくないし、ナレーションなど不要のものだ(自分は海外版を観たので、無論サイレントだったのだが)。ただこの詩情に肩まで漬かり、穏やかで悲しい物語の中に身を委ねていたい。
それなりにメッセージがこもっているのだろうが、自分はこれを老人の回顧譚として受け取った。周りの状況は主人公の孤独のメタファーであろう。
特に、連れ合いとの幼なじみの少年少女時代からの愛の育成には、心温まるものがある。言葉の要らないテクニカルな哀歌だ。これは歳をとらないと実感が湧かないものではあろう。
老人の思いは哀しいほど不幸なものだが、いつか自分もこのような思いを胸に刻みつつ老いてゆく時代が来るのだろう。けして心の浮き立たないアニメだが、大人たちにはこれにシンパシーを感じる人々も大勢いるはずだ。日本のアニメの熟成を匂わせる快作である。
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