[コメント] 扉をたたく人(2007/米)
壁のポスターに書かれた「移民は国家の力」とは何たる欺瞞。やるせない憤り。ラストで主人公が独り叩くジャンベに言葉なき怒りが満ちている。
かつて私が通っていた小学校は大阪市のど真ん中にあって、校区外からの「越境入学者」が多数いた。
ちょっとでも子供に良い教育を受けさせたいという親のエゴに他ならず、決してほめられた行為ではないのだが、そんなことは子供の私にはどうでもよく、そもそも夜間人口の少ない船場地区にあっては、小学校の同級生は皆大事な友だちであった。
だがある日、「人権擁護」の名のもと越境入学は規制され始めた。越境入学が差別につながると主張する人たちは、帰宅する児童の後を尾行して越境の証拠をつかみ、告発し、地元の小学校に強引に通わせたのだ。
一緒に卒業できずに母校を去っていった同級生たちを今も思い出す。彼ら彼女らは私の前から突如姿を消した、というより、引き剥がされたのだ。
規則を厳正に遂行することが間違っているとは言わないが、今もって割り切れない思いだ。
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