[コメント] サマーウォーズ(2009/日)
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結局のところこの作品の登場人物(主人公除く)のモチベーションの源泉は、偉大な武将の末裔であるという誇りと莫大な財力、自分たちが生まれる遥か前からの人脈でしかないと感じる。出自に多少のハンデを抱えアウトロー的役回りをする侘助でさえも、一族の財力を踏み台にアメリカで一旗揚げた訳である。また、主人公は数学オリンピック代表落選という設定からかけ離れた天才っ振りを見せつける。地味なサラリーマン家庭の平凡な息子である僕は、この作品にどのように満足すれば良いのだろうか?この設定、コメディ映画なら笑えるが、本作のように中途半端に感動物語に仕立て上げられ、挙句の果てに一族が世界を救った的な終わり方をされると、もはや苛立ちというよりもその安易さに呆れかえってしまう。たかがアニメに対して、こういう見方は意地悪過ぎか?いや、この手の批判に応えられない限り、アニメはいつまで経っても小さなお友達と大きなお友達の慰みものから脱し得ないのだと思う。だから、敢えてこのように苦言を呈した次第である。安易だ、この物語。
上記のような苛立ちを感じつつも、話のテンポも良く仮想世界の描写も爽快で、ある部分で楽しめはした。広い世代に対してネット世界の物語を楽しませる手腕はなかなかのもの。今の駿じーちゃんではこんな作品を作れないばかりか、観賞しても内容を理解できないだろう。この監督は間違いなく次世代の映画界の一翼を担う人だと感じる。本作は不満が残るが、次回作には強く期待したい。
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