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[コメント] 日本橋(1956/日)

淡島千景の美しさ、山本富士子の柔らかさ、若尾文子の初々しさ、どれをとっても観て楽しめる映画。
3WA.C

映像の魔術師・市川崑監督初のカラー作品。 初物とはいえ実に意欲的に「色」への取り組みを見せている。 とくに「黒」と「赤」との対比が素晴らしい。

実際の色彩以上に日本橋の芸者達が艶やかさを競う「赤」と、登場人物たちに常につきまとう死を喚起させる「黒」と、内容の上での対比もまた鮮やかである。

大映のオープンセットに明治時代の日本橋界隈を再現させ、それをクライマックスで惜しげもなく燃やしてしまったり、緻密な一石橋のセットにレールを敷き実際の電車を走らせてみたり、まさに大映の美術の技量がが半端じゃなかったことがよくわかる。当時の映画人の意気込みをみるだけでも価値がある作品。

岩田専太郎の描いた絵を参考に組み立てられた背景(書き割り調)や芸者の姿など実験的な要素もあり、古典的な内容の原作を革新的に表現したものといえる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)りかちゅ[*] RED DANCER[*] worianne[*] 若尾好き[*]

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