[コメント] 20世紀少年<最終章> ぼくらの旗(2009/日)
脱力。ミニマムな世界からマキシマムな世界への広がりを見せた第一作、第二作にはそれなりに期待を促される箇所もあったのに、それがああいう終わり方をされては文句をつける気分も高揚しない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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俺が見たかったのは脳内世界でのファンタジックな結末などではない。
いっぺんに世界はもとのミニマムなノスタルジー世界に逆戻りしてしまった。主人公はああして昔の「ともだち」に謝罪して終わりかい?そんな友情ごっこが欺瞞であることくらい監督は判っているはずだ。「覆水盆に帰らず」の見本のような事例ではないか。
はっきりとエンドロール後のフィルムはオトナのたわけた言い訳だ。転がり続けて世界を破滅に追いやろうとした挙句、殺されたかつての少年に今更あやまることなどできるわけがないのだ。それよりは世界で災厄が数十億の命を奪ったことのほうが重要ではないのか。さらに言えばあの主人公は何か。ルサンチマンにより世界を玩具にする「ともだち」とどこが違うのか。どこがいいのか判らない垢抜けない歌であれだけの人々を熱狂させている。そして、それこそが苛められたことのない「勝ち組」少年の小利口な全体主義なのだ。誰も傷つけず、誰も敵に廻さずに世界を跪かせる方法などないと「ともだち」は知っている。だから暴挙に出たのだ。そんな「負け組」少年には無償の愛など与えられない。それに対し、主人公は強いからこそ自らの夢に酔い痴れられる。そしてそんな全体主義を実行したくともできない弱者に哀れみの手を差し伸べられる。それは「傲慢」というものだ。
正直この杜撰な物語つづりには怒りを覚える。猛省を期したい。
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