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[コメント] 七年目の浮気(1955/米)

浮気を成功させるも失敗させるも、想像力次第。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 多分本作品がマリリン=モンローの代表作となるんだろう。確かに彼女の魅力がいっぱいに詰まっている。ただ、そう言い切ってしまうと、モンロー自身は嫌がるだろうな。まさしくここでのモンローの役回りは、「セクシー、ちょっと天然、善人」と言う、まさしくステロタイプな美人役。実際、この作品を見る限り、これだけモンローが前面に出ている割には本当に彼女、何にもしてない。ただ、それも仕方ないのだろう。視聴者が求める理想のモンロー像と言うのは、まさしくこういうものなのだろうから。

 物語は単純だが、やはりここで良いのはイーウェルの役回りだろう。自分の空想に飲み込まれそうになって、表情がくるくる変わる描写は見事だし、心配すべき事でもない事を一々くどくど考え回すシーンは実に巧みだ。モンローと一緒にいるときはちゃんと彼女を引き立たせているし。

 あと、この映画には面白いところが一つ。モンロー演じる金髪美人、実は彼女、一言も自分の名前を言っていない。リチャードも彼女を紹介するとき「ミス…なにかな?」と言っているだけだし、極めつけに、彼が激昂してこんな事を言ったりしている。「あの金髪が誰だって?知りたいか?マリリン=モンローかもな」。つまり、そう言うことだろう。彼女はひょっとして、モンロー自身かも知れない。と言う含みを持たせている訳だ。いやはや、ツボを思い切り付いている。

 こう言うとモンローファン(及びモンロー自身)は激怒するかも知れないが、モンローの演技力の幅の無さを逆手にとって、まさに理想像としてのモンローを撮りきったワイルダーに拍手を送りたい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ina 24[*] にくじゃが[*] sawa:38[*]

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