[コメント] キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語(2008/米)
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どう見てもダメ男として登場してきたエイドリアン・ブロディ。彼のどこにヒットする音楽を見抜く目や経営者としての才覚があったのか。映画はそんなことをまったく説明せずにずんずんと物語を進めていく。それが不満とはならずむしろ心地よささえ覚えるのは、説明的語りがなくとも各シーンを観客に納得させるだけの説得力が役者にあるからだろう。ブロディにしてもマディ・ウォーターズ=ジェフリー・ライトにしても、お定まりの類型に収まらない豊かな造型だ。その点でリトル・ウォルター=コロンバス・ショートは少し弱いか。彼らと比べると小さな役だが、存在感ではハウリン・ウルフ=イーモン・ウォーカーが一段抜けている(物真似としての精度の高さははじめから目指していなかったと思いますが、ウルフ役抜擢も納得の凄い目と声です)。飄々とチャック・ベリーを演じたモス・デフもいい。ビヨンセ・ノウルズは腰回りが淫猥。
いかんせん一点に向かって盛り上がっていく構成の物語ではないので、むしろ少々ぶつ切りの感があってもひとつびとつのシーンを単位的に充実させようという演出プランがあったと窺える。正しいと思う。路上で演奏しても見向きもされなかったライトが、女の家に転がり込んだ後でギターをアンプに繋げて鳴らすシーンだとか、小さな感動をもたらすシーンがたくさんある(出来事自体にもまして、「アンプ」という小道具や「二階からコードを垂らす」といった細部の作りが感動的なのです)。
劇中に登場する楽曲群が普遍的な名曲揃いであることは云うまでもないが、新録の演奏には現代的なツヤがあって、彼らのオリジナル演奏とは縁の遠かった観客の耳にも馴染みやすいのではないだろうか。
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