[コメント] 南極料理人(2009/日)
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この南極基地、暇人をいっぱい抱えている(料理人とか医者とか車両関係とか)のが冒頭の朝礼から示される。今日も一日やることがない人が多数だ。こういう「無駄」を切り詰めた結果がコロナ禍の病院、保健所(従事者)不足。平時はやることのない専門家がどれほど必要なことか、いまの日本人は痛感しているのだが、当時の日本人は理解できなかったのだ。本作はこれを歴史的に記録している。さすがテアトル東京と云いたい。
南極で何の研究をしているとか、説明をいっぱい見せられるのだろうと思っていたが、これが殆どないのもこの際清々しい。私はたまたま知っていたのだが、温暖化対策の研究方法である雪氷コアの説明描写は見るのははじめてで興味深かった。氷は30万年前の資料で、時価1千万円の価値と語られるが、映画でこれは娘の歯紛失の背景でしかなかった。あと、薀蓄では「極夜」というのが勉強になった。
ウィルスも死ぬ南極。きたろうの「ぼくの体はラーメンでできている」の訴えはきわめて間抜けで、ラーメン食べたくて深夜に悶絶する苦しみが伝わってきて、これぞ現代日本人の間抜けさそのものという気がする。冒頭の麻雀勧誘もワルキューレの放送も面白く、高良健吾の電話交換手ナンパの件がコントとして素晴らしい。この電話室の「無意識のラクガキ禁止」なる貼紙がリアルでいっそ物悲しい。
この頃の堺雅人は田村高廣を想わせる。次期越冬隊との現地での引き継ぎがないのは不思議だが、そんなものなんだろうか。。エンドタイトルのSpecial Thanksにピンナップ提供の宮崎美子と高橋由美子の名前が掲げられている心配りも素敵だった。
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