だいたい、そこにいるだけで絵になる人なので、静かな役柄が似合うんですね。でも彼女はそれにとどまらず挑戦したいようです。本作も途中にイメージとかけ離れた剣幕でしゃべりだすシーンが少々違和感を伴ってしまったが、ファンは暖かく見守っていたい。そんな真奈美さんも好きです。

と、こう語り出すと映画批評どころか、真奈美さんへのラブレターになりかねないので、敢えて作品を語りたいと思います。

この作品は実に等身大のヤンママを掘り下げることに成功していると思う。日本にいる大多数の主婦は社会にいた時はたいして専門職でもなく、3，4年で退職した人も多いだろうから、離婚して自活となればまさに映画のごとく目の前に立ち塞ぐものの現実におののくのではないか、特に昨今の超就職氷河期においてはまさしく厳しい以上の何物でもない。

とは言いながら、午後一時までの就職条件なんてちょっといくらなんでも現実的でない気もしますが、（真奈美さんぐらいの人が面接に来れば僕だったら採用しないわけでもない。）今じゃ９時５時まででも仕事を探すのは困難でしょう。

ほんと、子供を抱えて女一人でどう生きていくのか、現代女性のたくましさを見てみたい気がする。そんな視点でこの映画を見ていくと、一つ一つが身に迫り、他人事ではなくなってくる。一層のこと、経済的にも前の亭主と再縁したらと言いたくもなったが、そこは現代女性、しっかりと自分を受け止めている。

そうなんですね。前向きに生きる意思を持つことはことはどんな困難な状況でも必要なんだ。女一人ぐらい何とか生きていける時代でないと、いくらなんでも日本には明日がなさすぎるよね。

映画は、弁当屋が成功するかどうか分からないけれど、とりあえず、自分の才能を頼りに稼いでいくといったおぼろげな道のりは示したわけです。全国、今、新しい道を歩もうと思っている人にとっては、とても参考になる映画だと思います。

緒方明はコメディがそんなに向いているとも思えないけれどもいい勉強はできたのではないか。僕は新しい役柄に挑もうとする小西真奈美さんをしっかり見られてとてもご機嫌です。俳優陣は脇役もみんなうまく安心できる映画です。