[コメント] マイケル・ジャクソン THIS IS IT(2009/米)
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時折ゴシップで碌でもないニュースは流れてはいたが(一応『ネバー・ランディング・ストーリー』等という屑そのものの映画に出演もしてたりするが)、そんなマイケルが再びコンサートを開くというニュースが流れたのが2008年。折しもマイケルが引き込んでいたネバー・ランドが転売されると言うニュースの直後だった。ゴシップばかり聞いていた身としては、「とうとうにっちもさっちもいかず、コンサートやるしか方法が無くなったんだな」という気分で聞き流していた。それでロンドン公演が決まり、チケットはあっという間に捌けてしまったとか、まあそんなニュースもほぼ聞き流し、別段過去の人が何をしようと別に良いんじゃね?程度の感想しか持ってなかった。
だが、ある朝起き抜けにニュース観ていたら、マイケルの死を知り、その後そのリハーサル映像が映画になる。とも聞く。更に2週間限定で、近くのシネコンではIMAX版があるとのことで、俄然興味が出てきたので、拝見させてもらった。
正直な感想を言わせてもらえれば、圧倒された。よもやここまでの作品を見せられるとは。リハーサル映像のつなぎ合わせだから、インタビュー中心で退屈なものになると思ってた私が大きく間違っていた。何というか、観てるうちにどっと当時の思い出がわき上がってくるだけでなく、「まだまだこれからやれたのに」と言う勿体ない思いでいっぱいになる。何年かぶりに歌って踊ってるマイケルを観てるうちに、我知らず感動してしまった。
なんでこんなに心動かされるのだろう?
私にとっては80年代の自分の周囲の空気を懐かしめたってのが一つの理由だが、もっと重要なのは、マイケルが全く変わってなかった。と言う事実だろう。
これあけのブランクがありながらもマイケルの考えはぶれてなかった。「自分の音楽は最高だ」と信じて疑ってないようだし、近年言われてる“エコ”じゃないストレートな“自然保護”をここまでストレートにやるロックスターは今や絶滅種。そんなの関係ない。私は私のやりたいことをやる。と言う思いに溢れたそのステージ構成が、まさしく自分勝手なカリスマの行き着いたところなんじゃないか。
この姿勢は20年を経ても全然変わって見えない。この真っ直ぐさにこそ、心動かされた。
確かに年齢は増し、ブランクもあるにせよ、マイケルのオーラは衰えてない。20年という時代を飛び越えて、最盛期のマイケルが目の前にいるかのよう。むしろ本人のあまりの変わり無さが、現代的な演出と見事にマッチし、「この人しかできない」舞台にまで昇華させている。
何より、劇中のマイケルのこの無邪気さはどうだ。色々裏もあるんだろうけど、それを全く感じさせず、ストレートに音楽をやる喜びを感じさせ、音楽の力を信じ切っているように見える。こんな無邪気な姿を見せる人が今もいるのか。 20年前と較べ、社会も自分自身も随分変わった。しかし、全く変わらない人がここにはいる。何だろう。この安心感は。
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