コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 脳内ニューヨーク(2008/米)

奇を衒わずとも面白くなるであろうアイデアを下手にこねくる作為がSO-SO
junojuna

 チャーリー・カウフマン×スパイク・ジョーンズとくれば、といった予感的中な本作の仕上がり具合。ひとりの尊大な男の妄想を寓話として提示するアイデアは、主役フィリップ・シーモア・ホフマンと来た時、ついにブレイクな期待を抱いたのであるが、その希望は脆くも崩れ去ってしまった。カウフマン脚本作品は、ギミックに富んだハイコンセプトを信条としているが、その中身はどうもアイデア以上の答えとならず消化不良の感が残るものが多い。そうして見ると、その展開力の拙さが、安易に奇を衒う方向へ走らせてしまうのではないかと訝ってしまうほどである。また彼の寓意には、知的さの影は残るのだが、教訓としてうなづけるほどの真相に肉薄する力がない。まあ、はじめからそのようなものは狙いにもないのかもしれないが、どこか信憑性を湛えてこその不条理というものではないだろうか。コラボワーク4作目にしてこの程度とは、今後を期待してよいものかどうか。次作が正念場である。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)3819695[*] disjunctive[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。