[コメント] きみに微笑む雨(2009/韓国=中国)
韓国映画界において僕がフォローし続ける数少ない存在、ホ・ジノ。『四月の雪』『ハピネス』と凡作が続いていたがようやく少し持ち直したようだ。
この人の映画はこれまで、手に入れた(手に入りかけた/手に入るかも知れない)幸せをみずから手放してしまう人びとを描いてきた。今回は、手に入りかけたのに指の隙間からこぼれ落ちていく幸せをもう一度すくい取ろうとする人びと、を描こうとしていたように思う。
近作では語り口が饒舌になりすぎたと感じられることもあったが、今作では中国四川省の成都に舞台が移り、主人公二人の会話がほとんど英語ということもあって演出も控えめな方向にシフト。その分ワンカットの威力が増した。僕はこのくらいがホ・ジノらしくて好き。
また、シム・ウナ、イ・ヨンエ、ソン・イェジン、イム・スジョンと名だたる女優を撮り続けてきた監督だけあって、カオ・ユアンユアンの魅力を引き出す手腕はさすがの一言。この人とは好みが合うみたいだ。
作中に登場する杜甫の「春夜喜雨」に準えるなら、ドンハは雨でメイは花なのだろう。あれから月日は流れ再び春となり、時節を知る雨が(実はそれとは知らずに)降り注ぐ。好き雨は地を潤し花を咲かせることが出来るのだろうか…
好雨知時節
當春乃発生
随風潜入夜
潤物細無聲
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城
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