[コメント] フローズン・リバー(2008/米)
「フローズン・リバー」‐凍えた河とは、良い題名だった。そしてそれに相応しい、心に響く良いシーンがあった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最後の方、私がいなければ2人の息子は生きていけないと嘆願し、モホーク族の相棒ライラミスティ・アパームの好意に甘えた形で、レイメリッサ・レオは一人逃げ出していく。
そして真っ暗な河のほとり、かすかに凍った河の軋む音が響く。
ああ、所詮、人は自分の都合を最優先し、他人の事情には心を凍らせて生きていくのか。凍えるのは河だけではない、人の心も凍えるのか。そういう、本当のことかも知れないけれども、冷え冷えとした気持ちにさせられた。
それだけに暗闇に消えたレイが再びモホーク族の住宅に姿を現したときは、心底ほっとした。何というか、それまでの寒風吹きすさぶ戸外に一人立ち尽くし身も心も冷え切った状態から、暖かい部屋の中にいて、窓の外の流れる河さえも凍てつかせる極寒の外気を眺めながら部屋の暖かさに幸せを感じさせるような、そんな気持ちにさせられた。
大げさな言い方かもしれないし、案外、ありふれたような平凡な物語かもしれない。
でもこの映画は、凍った河の上を万が一を思いながらも車に乗って走っていかざるをえない、そういう境遇にあっても人の心は凍てつくことはないんだよと、ほっとさせてくれる。
そういう良心と純粋さを、厳しい自然との対比で鮮やかに見せてくれたのではないだろうか。
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