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[コメント] 東京オリンピック(1965/日)

もしかしたらもっと違う形での素晴らしい記録の残し方もあったかも知れないものの、やはりこれはこれで素晴らしい、ときっとこれからも語り継がれるだろう。そうと断言できるこだわり抜いた末の良質の成果。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







都市の破壊と建設、外国選手たちが次々空港に降りてくる姿、富士山の前を一筋にたなびいていく聖火、それを一目見ようとする群衆の興奮(体を押されてあがる悲鳴も聞こえる)、開会式の選手団入場の色と質量の美しさ、会場に入れずその熱狂の様子を競技場の外から窺おうとする人々。潤沢な映像にクラクラする。予算もあったかも知れないが、金だけあってもこだわりがなければこんな映像は撮れないだろう。凄いこだわりだ。

ただ、競技の部分、アクションの抽象美や選手の心理ドラマのようなものを抽出しようとする試みは面白いと思う反面、やはり物足りないと思った。スポーツやオリンピックを精神の表現とし、勝負事という見地から切り離そうとする意図がありながら、どうしても面白いのはやっぱり女子バレーの決勝戦のような、どっちが勝つかの展開というところにあって、それを見せ場に据えざるを得ない。テーマがどうあれこれだけは外せないというのは、組織に対する配慮などではなく作家としての判断だと思うのだが、であれば、やはりスポーツの本質的なものとはそういうことにあった筈で、掲げたテーマゆえにそこを避けてしまったと思う。

(評価:★4)

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