かいじゅう達の社会は，人間社会そのものとして描かれていた。怒りが支配する場面では，暴力的な言動に，いちいち怯えてしまった。悲しみが支配する場面では，伏し目がちなかいじゅう達の目の動き一つ一つに胸がしめつけられるようだった。 頭を踏んだのがわざとかどうかで揉めて，結局はそのために一度は台無しになるといったエピソードも，些細なことですれ違う大人の寂しさと苛立ちをうまく表していると思う。 子どもだけでなく大人も楽しめる，むしろ大人こそ考えさせられる映画。 不思議な余韻が残る。いい映画を観た。