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[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)

差別を描いているのではなく、差別を込めている
Bunge

面白かったのは面白かった。全体的な印象としては「青いポール・バーホーベン」。御大に監督して欲しかった。

前半はどこかで見たようなシーンばかりで、中盤からは引き伸ばしのためのアクションシーンが延々続く。ゴール直前で寸止めするのは当然だけど、ちょっとばかしドンパチに頼りすぎてないかな。色んなアクシデントが起きるけど事の起こりが強引、香港映画の飲食店での喧嘩シーンのよう。

過激な要素も目に付いた。スプラッター描写はもちろんのこと、黒人の「エイリアンを食べれば万病に効く」という信仰は最悪だ。「処女を犯せばエイズが治ると思っている迷信深い奴らだからエイリアンだって食いかねない」という白系南アフリカ人監督の差別感情を感じた。南アフリカでは赤ん坊までレイプされているのは事実だが、オブラートで包むなり比喩を使うなりできないのか、信仰のモチーフが丸わかりだ。それに「被害者ぶってる黒人だって自分より下が出来れば差別しまくるんだぜ」といった感覚も持っているように見える。

色んな粗は「若いから」の一言で済ませられるが、何よりおかしいのはアカデミー賞。今までは選考基準の偏りも個性として許せていたけど、この作品に色々ノミネートした事実は末期というより狂気。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得 pori[*] けにろん[*]

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