確かにクリストファー・ノーランが思いつきそうな映画である。劇場で予告編を見た時に、これはもしかしてひょっとするとひょっとするかもしれないぞと思ったが、蓋を開けて見れば、自分が打ち出したアイデアをまとめるのに必死となっただけという印象の小さくまとまってしまった作品となった。おそらくSFとしての世界観を強固に構築するだけの時間さえなかったし、ともするとそれ以上の深みを見せる世界観を創造するに足らなかったのかもしれない。それくらいに期待はずれの残念な作品であった。また、役者陣が全然よく見えないというのも、ノーラン作品の課題である。渡辺謙のアメリカンな演技の下手っぷりは見るに堪えない。一番微妙な役どころだろうに。監督、渡辺共に、次作が勝負となるであろう。