[コメント] ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)
少年オスカーが抱いた恋心に、はたしてエリはいかなる心情で応えたのだろうか。いや、そもそもエリに心など見い出そうとすること自体が、エリを理解していないということだろうか。恐怖のその先にある悲しみまでをも見すえた、実に切ないヴァンパイア映画だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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始めはあなたとは友達になれないと言っていたエリは、オスカーがいじめられていることを知り、もっと抵抗して立ち向かえとアドバイスする。言葉どおりオスカーは体を鍛え、そのあげくいささか唐突な暴力でいじめに立ち向かった。エリは心から少年の身を案じてそう言ったのだろうか。それとも、少年が自分に寄せる思いを知り、保護者ホーカンの代役を期待してそう囁いたのだろうか。私には分らない。
弱者を理解するかのような異端者と、魅入られたように異端を受け入れる弱者。少年の恋心とヴァンパイアの思惑が錯綜する。プールでオスカーを救ったエリに、はたしてヴァンパイアとしての打算はあったのだろうか。そこには理屈や計算などないのかもしれない。いずれにしろ、すべてを受け入れた車中の少年は実に力強く満足そうであった。
弱者であったはずの少年がエリのために犯罪者になることを選ぶという危うさ。純粋な少年を殺人者に仕立てるこでしか生きながらえないエリの悲しみ。本当に恐ろしい恐怖映画を久しぶりに観た。
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