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[コメント] ベスト・キッド(2010/米)

率直な感想として、これはハラルド・ズワルト監督の、前作への、そして前作を監督したジョン・G・アビルドセン(彼の代表作は、もちろんあの『ロッキー』である)への最高のオマージュであると感じた。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これを、たまたま6月8日(言うまでもないことかもしれないが、劇中ハンさん(ジャッキー)が、1年かけて整備した車をぶっ潰していた日です)に見てしまったというのも何かの縁なのだろうが、しかし、そんなことを差し引いても、この映画は自分の琴線にふれた。

何よりまずこの映画は、出てくる子どもたちの顔がいい。不慣れな中国での生活の中、激しいいじめに遭い、困った顔を見せながらも、それを懸命に乗り越えていこうとするシャオ・ドレ役のジェイデン・スミス。そんな彼を友達として支えようとしながらも、親の言うことにはNOと言えない音楽少女役のハン・ウェンウェン。カンフーとは名ばかりの必殺拳で同級生を牛耳る番長(死語?)役のワン・ツェンウェイ。それぞれが一度見たら忘れられないような表情を浮かべる。それを見ているだけでもこの映画は楽しい。

また自分は、よい雨が降るシーンのある映画が好きなのだが、この作品も、アメリカから離れる際、そしてハンさん宅で修業に励む際と、非常に印象的なタイミングによい雨が降らされていて、そのあたりも自分には嬉しかった。加えて言うならば、車のライトを使って、劇中にもあった影絵さながらに(あのキスシーンも可愛かったですね)シャオ・ドレくんの修行をより劇的に見せるハラルド・ズワルト監督の演出というものにも、ありきたりと言えばありきたりな手なのだけれど、それを恥ずかしげもなくやってしまい成功させてしまったところには、素直に白旗をあげておきたいと思う。

あとはこの映画に、現代版『ロッキー』ともいうべき熱い血潮が流れているように見受けられるところにも、深い感銘を覚えた。そしてその血潮の元となり、『ロッキー』でいうところのトレーナー、ミッキー役とかぶるハンさんを演じたのが、今や老優との境に差し掛かってきたジャッキー・チェンであるということろにも、デビュー当時の修行に修行を積む彼の姿をとらえた映画の数々を見てきた自分には感慨深いものがあった。

そしてそんな中、コブラ拳?が炸裂し、最後の最後、敗者が見せるあの敬礼。いやぁ、素直に泣きましたよ。

(評価:★4)

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