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[コメント] 瞳の奥の秘密(2009/スペイン=アルゼンチン)

「混沌から確証を得る道程のあがき」。これは全ての推理劇や恋愛劇に共通した主題だろう。カンパネラ監督は、そんな悩ましき葛藤を多彩な映画的視線を駆使して描き出す。その技巧が過剰や饒舌の一歩手前でスマートに制御されているところに良質の娯楽性を感じる。
ぽんしゅう

空撮という3次元視線であたかも猛禽のごとく群集のなかへと舞い降り、個をあぶりだすかのように2次元視線でぐいぐいと混沌へと分け入り、ついには穴の奥へ奥へと逃げ込む獲物を追尾者視線で猛然と追い込むサッカースタジアムのロングカットは、今年見たどの視覚効果よりもエキサイティングであった。

この強引なテイクの挿入は、他のほどよく抑制され緊張感を持った視線(視点)に比べて、あまりにも激しく躍動的で、いささか映画全体のトーンから逸脱している印象を受けるのだが、「混沌から確証を得る道程のあがき」という物語の主題を象徴的する、あるいは集約するという意味において、ファン・ホセ・カンパネラ監督にとっては確信犯的必然であったのだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)赤い戦車[*] 煽尼采

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