「私を抱くときは私だけのことを考えて。私幸せになりたいの」「はい」

「私と一緒にいたことを絶対に忘れないって約束して」「はいはい」

ゴールイメージは近いものだと思うが、そこに向かう女性の方程式はそれぞれ分かりにくくて、我がままで、かわいいものだと常々思っている。（女性の方、勝手なこと言ってすみません）男性は死ぬまで勉強だ。 原作は官能小説だの何だの色々言われているが、私には登場する４人の女性の生き方が瑞々しく感じられ、とてもリアリティを感じた大好きな小説だ。

映画の感想だが何より脚本が悪い。原作の単純な切り出しをおこなおうとしている。元々濃密な人間描写のプロットだけを切り出そうとしてもそれは失敗するに決まっている。ミドリもレイコさんもワタナベくんとの関係はそんな単純な話ではない。伝えきれないなら描かなければいいのに。 映画全体に『青いパパイヤの香り』の雰囲気を出そうとしているのはよく分かるが、一部2時間サスペンス調になったり全体のテイストとしても統一感が感じられない。トラン・アン・ユンどうしちゃったのかな？

勝手な想像だが亀山千広の名前を見たときに、何か純粋な映画製作以外の力関係やマネジメントみたいなものがあったのかなと思ってしまいました。そう考えると監督にラン・アン・ユンを起用して全編ダイジェストみたいな作品になってしまったことが納得できてしまった。偏見ですが。