[コメント] トスカーナの贋作(2010/仏=伊=ベルギー)
メランコリックな会話とほのかにユーモラスな演出とが渾然となった傑作。異質の空気をここまで一つにできる監督の才能に脱帽する。役者が演じる誰かが、さらに違う誰かに変わっていく二重虚構のサスペンスに幸福なとまどいを感じつつ、夫婦という関係にある者なら誰しもが思い当たる光景の普遍性に深い共感を抱く。
ジュリエット・ピノシュが画面いっぱいにキャメラと正対するシーンの頻出が特徴だが、ファンとしては幸せなショットだ。彼女の顔や胸に落ちる光のデリケートさを味わっていると、春の花でいっぱいの温室にいるような快さだった。
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