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[コメント] 奇跡(2011/日)

龍之介(前田旺志郎)の呆けっぷりが既に奇跡。「桃栗3年柿8年、8年経った今が食べどころっちゅうねん!」アドリブなのかミステイクなのか、それをそのまま使っちゃう是枝監督の手腕も奇跡。子供の頃の小さな冒険前夜の胸のザワザワ感が巧く表現されていた。内田伽羅は実祖母の樹木希林にも負けない女優魂を魅せてくれました。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







兄と弟の対比。

兄の航一(前田航基)は真面目で、現状が不満だらけ。家族が離れ離れになったことも、鹿児島に住まなくちゃいけなくなったことも、おばあちゃんが弟の龍之介(前田旺志郎)に電話する時いつもより優しいことも。全部不満。

それを単に元に戻したくて奇跡を望んでいた。

弟の龍之介は父親に似て楽観的で自由奔放。順応性も高く友達もたくさんできてる。生真面目な兄からすると、それはそれはイライラすることだろう。

ただ、一見目先のことしか考えてないように見えて、龍之介も我慢はしていると公言しているし、母親に対しての電話でのセリフは泣かせる。

当初、兄はただ単に家族4人がまた大阪で暮らせることを祈ろうとしていた。

弟は、兄の願いが叶うように祈ろうとしていた。

いざ、その瞬間が来た時、兄は現状を受け容れることを選び、弟は父親のあと一歩(インディーズ)がうまくいきますようにと祈った。

長い目で見ると、弟の願いの方が奇跡に直結しそうに思えた。

それでも兄は弟に渡したかるかんのことを尋ねられて祖父に言う。

「あいつにはまだまだや」

どうなんだろう。

一歩先に現実を受け容れることができる大人になった兄からしたら、弟はまだまだ目先のことしか考えてないように映るのかもしれない。

「8年経った頃がたべどころや」

いや、そこ、「食べ頃」なんだけどw

8年後に家族がまた笑顔で一緒に暮らせるようになってるといいね。

脇を固める子役たちも皆一様にいい演技。大人顔負けのアドリブもあり、邦画界の未来もまだまだ明るいぞ、と個人的には思った。

(評価:★5)

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