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[コメント] 100,000年後の安全(2009/デンマーク=スウェーデン=フィンランド=伊)

その全貌が今ひとつ把握しきれない「オンカロ」は、あるシーンではSF建造物、また別のシーンでは洞窟・廃墟のような表情を見せる非常にフォトジェニックな空間だ。ドキュメンタリに作為の跡が残ることを恐れない演出家は恵まれた画力を存分に振るって、この世界で進行する異様な事態を告げ知らせる。
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**ネタバレ注意**
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本当に核廃棄物が一〇万年間も安全に保管されたならば、そちらのほうがむしろ奇跡ではないかと思われ、現在の私たちは文字通り地球史上でも未曾有の局面に生きていることを直ちに了解させられてしまう。

さて、ここではオンカロの建造物としての耐久性・健全性について以上に、埋蔵されている核廃棄物の危険性を後代へ伝え続けることの困難が強調されている。映画は未来の人類に向けて語るという体裁を取っているが、実際のところ語りかけるべき対象が「人類」と名指しうる存在であるかどうかすら判然とはしない。一〇万年とはそれほどまでに大きいタイムスケールだ。また、それを少しく読み換えて「コミュニケーションの不可能性」とでも呼べば、一個のドキュメンタリ作品を越えた「映画」の主題に値するはずだ。

明らかにされてゆく事実にはほとんど絶望的な感情を抱きそうにもなるが、監督マイケル・マドセンは決して辛気臭いしかめ顔でそれを語ろうとはしない。たとえば、暗闇の中で監督自身が観客=未来の人類に語りかけるシーン。マッチの炎が彼の顔を浮かび上がらせ、台詞を云い終えた瞬間にマッチが燃え尽きて画面はブラックアウトする。幾度もリハーサルを重ねなければ撮れないカットであり、その作為的な演出はある種のユーモアさえ湛えている。この題材を扱うにあたって、これが最良の態度であるかは分からない。しかしその演出姿勢のために、これは単なる問題提起に留まらないとてもとても面白い映画として私たちの興味を誘うことになるだろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] ロープブレーク[*]

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