[コメント] 猿の惑星 創世記(ジェネシス)(2011/米)
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ここで示されるのは、なぜ人類は滅亡へと向かい、地球は猿の惑星へと化していったのかというシリーズの根底に関わる謎の解明である。それが現代のサンフランシスコを舞台に、シーザーという1匹の雄猿を主人公に語られていくわけだが、この作品が私の気に入ったのは、知能・思考レベルは高くとも言葉を有しなかった猿たちの切なる思いが、言葉はなくともその行動や表情など豊かな表現力を通じて確かに伝わってきたからにほかならない。そういった無言に近い中で示される表現力があったからこそあの「NO!」の叫びが効いた。また、加えて言うと、本作の全ての猿がCGによるものであるという事実も、私には純粋な驚きであった。
さらに、映画が終わったかと思った途端に示されるあの展開。思えば例のトラブルの際の「パイロットの俺が仕事に行けなくなったどうするんだ」的な叫び等、さほど重要とも思えない隣人がやたら出てきて不思議と深い印象を残すのが不自然に思えたりもしたのだが、結局はあのラストのための伏線だったのかと納得したと同時に、こんなに恐い展開を最後の最後にも用意しておいたのかと、ストーリー面においても満足度は高かった。
もちろん気になる点がなかったわけではないし、ハリー・ポッター・シリーズのマルフォイにだってホグワーツを卒業してもそんなキャラかよと言ってみたくもなるし、私は今までの作品の全作を観ているわけではないからえらそうなことは言えないのだが、それらの作品が好きだったという人たちにも本作は興味深く受け取られるのではないかと思っているし、また、それらを観ていない人の中にも少なくとも第1作くらいと観てみようかと思う人も出てくることだろう。本作はそのようなきっかけの1作にもなっていくことが期待できる作品でもあった。
近年のアメリカ映画が軒並み140分程の尺になっている中、116分と2時間以内に収められているのも好感が持てる。
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