[コメント] ヒミズ(2011/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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染谷・二階堂のベネチア受賞組をはじめとして、園子温オールスターともいえるキャストの演技は観客にそのエモーションを突きつけてくるという点で素晴らしかった。そのため、その演技に耽溺していれば本作の評価は自然と高いものになると思うが、ストーリーを考えるとおかしいのではないかと感じる面も少なくない。
コマーシャルにも使われていた「普通最高!」「異議なし!」のところもその直後に「でも、住田君普通じゃないよ」なんて言わせたら、十分異議あるじゃないかという話になるし、茶沢の家庭崩壊を明確に示す必要があるかどうかも僕は疑問に思う。茶沢をエキセントリックというかエモーショナルな存在にするのは構わないのだが、それも住田に受け入れられてないことからそういった行動に出るというロジックで問題なかったのではないか。
あとは、「天丼」というかシチュエーションの過剰さも引っかかる。住田の徘徊時に出会うサイコキラー的な人物の多さ。劇中何度も挟み込まれる震災現場のイメージ。やりすぎ感が否めないように思う。「今」、震災の現場をエンターテインメントの世界で使うことの意義が決して小さくないのは理解する。それは前提として、もう少し絞った方がより効果的だったのではないかと考える。
とは言え、「強い」シーンが多いので、さほどネガティブな感想を持たないのはこの映画の良いところである。ラストの「がんばれ!」はもちろんその直前にでんでんが語る住田の行く先を見据えた「助言」も強く心に残った。
やはり、今、観るべき作品である。それは間違いがないと断言する。
(2012.1.29 横浜ブルク13)
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