[コメント] 襲われた幌馬車(1956/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
いわゆるプロローグがないような形で、リチャード・ウィドマークが川べりで男を撃ち殺すところから物語は始まる。台詞もないのでどういう状況かもわからない。ただ1人の男が複数の男から狙われているらしいこと、それだけはわかる。やがて弾切れを起こしたリチャードは、結局3人の男を殺すが、最後の1人に捉われの身となるわけだが、実はそこまでがプロローグであったことが徐々にわかっていくという、その展開にまずは見入ってしまった。
こうなるとあとはデルマー・デイヴズの思うつぼで、偶然立ち会った一行との何気ない食事の場面を基軸として、実は保安官自身が粗野で教養もない無慈悲な男であることが示され、形的には殺人犯であるリチャードに段々と感情移入させていくという常套手段にも無理がない。
また、最近の映画ではいわゆるアホ役が1人で、そいつは結局死んでしまうというパターンがよく見られるのに対し、本作ではきちんと「アホ2人最強説」が採用され、でありながら必要以上の死者を作らないという往時の作品らしい展開にも安心できる楽しさがあったし、アホといえば本作の尺には合わないようなアホほどの爆薬が使われるクライマックスにも大笑い。
さらに、リチャードと彼に恋心を寄せるヒロインフェリシア・ファーとが初めての朝を迎え、身なりを整えるしぐさだけで2人が結ばれたことを示唆するシーンのさりげない美しさなど、短い尺ながら見どころは満載。ラストのリチャードと保護観察役の2人とが未来に向かって駆け出していくシーンのさりげなさも冒頭とのバランスが取れていてとてもよかった。
現代にもこのような短尺ながら映画の楽しさ溢れる作品が広がればと思わせてくれた、幸せな作品であった。
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