[コメント] ダークナイト ライジング(2012/米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まず好意的におもったものをあげるとすれば、脇を演じる俳優たちの熱演は楽しめる。
アン・ハサウェイのキャットウーマンは演技もキャラ付けも非常にキャットウーマンらしくバットマン・リターンズでのキャットウーマンがあまりにもバートン趣味に走りすぎてあまり好感がもてなかっただけに非常によかったです。
正直、ヒース・レジャーのジョーカーよりも衝撃的でした。
ベインも意外とカッコイイね。
身長178cmしかないトム・ハーディーがまるで身長190cmにみえるほど巨大に感じる。
何よりもナイトフォールでの名場面「I will break you」でのバックブリーカーを再現していたのはよかったです。
そして冒頭の飛行機の映像やフットボール上での映像も迫力があったとおもいます。
まぁ、いい点はそこぐらいで後は何もかもがダメダメですね。
結論からいうとこの映画、中途半端なんだよ。
脚本はビギンズでやったことをもう一度やり直して、原作のナイトフォールやノーマンズランドのパクリ(よく言えばオマージュ)をしでかしてしまう。
特殊兵器を使ってゴッサムを孤島に変えて、刑務所を襲撃して囚人たちを脱獄させる・・・この展開はビギンズでもやったでしょーが!それをやるかよ!
セリフについて言えば、いつものノーラン節というか、ノーラン兄弟のドヤ顔に満ちた「どや?わしえぇこというとるやろ。」的なキメ台詞に満ちていて全く好感がもてない。
何よりも最悪なのが前作ダークナイトのラストで描いた伏線を回収さえできていない。
そもそもダークナイトのエンディングさえ俺は賛成できないものだった。
だが、ライジングではある程度ダークナイトのそういった「優しい嘘」への回答がみれるとおもっていた。
もっと言うならそういったものを描き、真実を知った市民たちがどういう反応をするのか?そしてゴードンやバットマンたちはどうなるのか? というようなものをちゃんと描ければ俺は☆4つはあげただろう。
ところが、この映画で描かれたものといえばビギンズの全くどうでもいいラーズ・アル・グールやら影の同盟やらの復讐だった。
しかも恐ろしい事に影の同盟はバットマン・ビギンズでやったようなテロをもう一度行いやがる。
俺は心の中で叫びましたよ「ノーラン、やっちまったなオイ。」と。
いや、どうせそうくるだろうとは思ってましたよえぇ。
タリア・アル・グールを真の黒幕として出してくるんだろうな。
ミランダはどうせタリアなんだろうな、と思ってました。
だって事前情報でリーアム・ニーソンがでてくるとかいってたし、ミランダの予告編でみせた格好はまんま民族衣装きてましたしね。
でもね、ちょっとは期待してたんですよ。
タリアだとわかっているけど、そこらへんはどういう風に出すんだろうか。
とね、まぁそれがラストになって「私が黒幕です」といわんばかりにナイフで突き刺してくるのだわ。
盛り上がりもヘッタクレもあったもんじゃない。
何よりも致命的なのはバトル描写、最終的に殴り合いで解決させるんだったらもうちょっと敵の弱点なりを分析するなり、修行をしなおして「バットマン!立ち上がれ!」という燃えをヒートアップさせるべきでしょうが。
そもそもベインの弱点がマスクだとわかっているんだから、眼に見えてるんだから最初からそこを狙えば勝てるでしょうが!
原作ではベインは腕についたチューブから筋肉増強剤を注入して超人的腕力・体力を手に入れるというキャラなんです、このいわば増強剤注入の場面もベインを描く上でとても盛り上がるところなんですが、ノーランはそれも描かない。
また、この映画が下敷きにしているナイトフォールというエピソードでバットマンが負けたのはジョーカーによって殺された二代目ロビンのことが忘れられないという精神的ショック、3ヶ月間休みなしでバットマン活動をしていた事への身体的負担があったからでそれが原因でバットマンはベインに負けるんでちょっと理由があるんですね。
この映画でも申し訳程度に足がきかなくなってるという描き方をするが、それが作品に影響もしていないし影響していたようにはみえないんだよね。
そもそも、そういう設定があるならベインを蹴り飛ばそうとした時足が上手くまわらないとかそういう風にできるでしょうが!
つまり何がいいたいかというとそういったバトル描写についてもあまりにもおざなりで燃えないのである。
そこら辺アベンジャーズやアメイジング・スパイダーマンはうまかったよ!
はっきり言った話、ヒーロー映画というのはプロレスである。
だが、プロレスというのは優れたアングルが必ずそこにある。
アングルがあるからこそ、プロレスは燃えあがり観客はそれぞれの選手へ応援をする事が出来るのだ。
この映画はまさにアングルがダメなプロレスそのもの。
燃えないし盛り上がらないし、なんともあっさりとしている。
ハッキリ言えばこの映画は塩である!
塩映画である!
バットマンRIPを思い出させるロビンの登場とか、バットマンの死ぬ死ぬ詐欺とかの再現も正直言ってまったくどうでもいい。
そんなもんで俺が喜ぶと思ったら大間違いだ。
そんなものよりもダークナイトの「優しい嘘」と「偽りの希望」についてのアンサーがみたかったのだ。
ノーランはそれを描くべきだった。
それも描かないで、ビギンズの真似事をしただけのノーランは正真正銘のチキンだ。
まぁ、ここまで貶しておいて何なんですけどね。
本来なら、☆二つにするところだがアン・ハサウェイのキャットウーマンがむっちゃかわいかったので☆三つにしました。
だってアン・ハサウェイのキャットウーマンかわいいんだもん!
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