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[コメント] 夢売るふたり(2012/日)

かなり喜劇。勿論(?)ゲラゲラ笑わされる部分はないのだが、ニヤニヤとさせられる場面の連続だ。例えば松たか子がパンツを下げて半尻を見せるシーンのクロスカッティングされるタイミングなんかを考えても、作り手はかなり喜劇を意識していると思われる。
ゑぎ

 ただし、阿部サダヲ田中麗奈と携帯電話で会話するベランダのシーン、この松たか子が阿部の会話を操作するシーンあたりが一番楽しいが、このようなコメディらしいシーン作りも意識的に抑制され、プロットを松たか子の孤独や「腹いせ」に収斂させる選択がなされている。このベランダのシーンのようなトーンを持続させていればまた別の映画になっていただろう。或いは多くの観客は、そういう映画をこそ見たかったと思うかも知れない。松たか子は依然こゝでも怪演だが、ファンタジックなコメディとしてのお膳立てと後半の深刻なキャラ作りが整合せず一貫性を欠いた感がある。

 また、刺身包丁を使ったプロットの転がし方及び包丁自体の演出や安藤玉恵演じる風俗嬢のエピソード等についてもかなり良くできているのだが、それにしても脚本の段階で完成したパーツという印象が強い。或いは松たか子の自慰シーンや生理用ショーツを履くシーンなんかも、こんなことがやりたかったのは理解できるが、どうせならもう少し艶っぽい演出にすべきじゃないか。そんな中で、乗り物の撮り方は面白く、幸福の象徴としての自転車の使い方が3つ4つあるし、電車の撮り方も良い。特にトンネルのカットには瞠目した。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)緑雨[*] おーい粗茶[*] ぽんしゅう[*]

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