[コメント] アルゴ(2012/米)
大勢の子供たちを使って、シュレッダーにかけた書類のゴミから、モンタージュ写真を作らせる、というのはとても良いアイデアだと思うが、もっと映画的に上手く見せられるのではないだろうか。全般に、イラン側の敵役としての造型が弱い。
まず、当時のイランのイメージ(雰囲気)をこれだけ再現したのは立派だとは思うし、冒頭の大使館が占拠される部分を筆頭に、スリルの創出が上手くいっているところも多い。しかし、悲しいかな、主演俳優が弱く、彼が登場すると、画面の停滞を感じてしまう。また、ハリウッドのスタジオにいる、アラン・アーキンとジョン・グッドマンはとても面白い役割なのだが、見せ方はイマイチ鮮やかさを欠く。グッドマン演じるジョン・チェンバースは、映画ファンとしては馴染み深い名前なのだから、もっと見せ場があっても良いと思った。
そして、クライマックスのイラン出国まわりの顛末は、色々な事柄が、次々とギリギリでクリアされていくスリルと爽快感はあるのだが、空港からの脱出、飛行機の離陸にいたる緊迫感は、やゝ作り過ぎを感じる。いや過剰であることは、むしろ誉めるべき点かも知れないが、こゝで作劇するのなら、もっと随所で事実を曲げても面白くすればいいじゃないか。どうせ、映画はフィクションなのだから。
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