[コメント] 希望の国(2012/日=英=香港)
NHKで撮影風景を見ていたからかなあ、映像的にぎょっとさせるシーン(例えば若嫁が防御服を着て夫を見るシーン)なんかはホラーっぽい印象が湧くはずなんだけれどそれがない。ごくすべて自然に映像が流れる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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監督は言う。事実を映像に残しておくことが我らの使命である、と。けれど彼は劇映画の方法を採った。何故劇映画でなければならないのか。ドキュメンタリーでは何故だめなのか。(ただ、ドキュメンタリーは僕らがテレビで厭程見てはいるが、、)
とこんなことを言うのは、この一家族がとても演技っぽかったからだ。特にこの老夫婦は演技をしているように思えた。園のいつもの自由さは奪われているかのごとく窮屈だった。
一方、息子夫婦は逆にもっと人工的な演技でもよかったような気もする。普通の夫婦である。あの展開だったら、東北を離れ関西でも行けばそれで解決するんではないの?と誤った解釈にでも導かされそうな印象である。
いやあ、こういう真摯な映画に、かの、昔から追っていた園作品に批判めいたことは書きたくない。彼はいつものエネルギーを抑えてただ原発の事実を前にして考えたことのみを抽出したのだろう。その姿勢はいい。立派だ。
でも僕たちはすでに1年半を経てこの災害の事実の重みをドキュメンタリーを通して見ている。その事実の前にはこのフィクションは弱いと思うのだ。事実を残しておくことが主眼であったなら、しつこいようだが敢えてドキュメンタリーでもよかったのではないか、と考えるのである。フィクションはやはり今この国では描きにくかったのではないか、と思ってしまうのである。
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