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[コメント] ゼロ・ダーク・サーティ(2012/米)

スクリーンに身を委ねているうちに、いつの間にか「米国目線」に憑依している自分に気づき恐ろしくなる。その戦慄を味わうことにこそこの映画の意味がある。ラストシーンのジェシカ・チャステインをみれば、これがプロパガンダなどではないことは明白だろう。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







正直、中盤は中だるみを感じる。同僚の女性調査員ジェニファー・エールが自爆テロにあって命を落としてから、連絡役の男を見つけるまでの間。だが、その中だるみがあるからこそ、アジトを発見して映画が「動き」出し、終盤30分の襲撃シーンに至る高揚についつい惹き込まれてしまうのだ。この麻薬は強力。

ジェームズ・ガンドルフィーニ演じる長官がミーティングで、アジトにビンラディンが潜んでいる可能性を問うシーン、上官が「60%」などとハンパな回答をする中、チャステインが「100%!…というとビビるだろうから95%」と言い放つ名台詞。しかし、劇中でも言及されているようにイラクの大量破壊兵器もこうして「推定」されて戦争が起こされたのだと思うと、全てはイチかバチかなのかよと空恐ろしさを感じる。

抑制された演出にこそ凄味が生まれるのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)MSRkb ジェリー[*]

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