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[コメント] ジャンゴ 繋がれざる者(2012/米)

退屈とは無縁の165分。21世紀最高の西部劇の一つになるだろう。本作のディカプリオ邸での会話は、タランティーノの現時点での技術的集大成。人物の出し入れ等を観ると『レザボア・ドッグス』の頃より遥かに成長している。アクションのキレに関しては間違いなく過去最良。無論完璧ではないが、正直素晴らしかった。
赤い戦車

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ジェイミー・フォックスの迷いの無さがいいね。どこからともなく現れ、消えていく様と相まって実に西部劇のヒーローっぽい。そういえばフォックスは背中と頬に「傷(刻印)」をつけられた姿として登場するが、彼は映画内では最後まで「傷」一つ負わない。この無敵さもジャンルに則ったものだろう。

あとクリストフ・ヴァルツが何故ドイツ人の役かといえば、恐らくニーベルンゲンの歌と結び付けたかったのと、ドイツ語・フランス語の台を詞混ぜてメリハリ付けたかったからというぐらいしか理由がなく、大して必然性が無いのがまた映画っぽくて良い。

銃を抜くか抜かないかといった細かい動作や役者のアップで緊張感を高めたり、あるいは3兄弟を殺す時の木々の揺れ、蝋燭等室内照明の豊かさなど、こういう小さな部分でその辺のナード監督とは一線を画する力量を見せつける。旅立ちの時にフォックスとヴァルツがお互い頷き合うのも良い。

黒肌に青、農場主に真っ白な服装、白い花に赤い血を飛び散らせたりと色使いの点でも遊び心がみられる。これだけの傑作を撮っておきながら、この監督はまだまだ底を見せてないと思う。一体どこまで伸びるのか、空恐ろしい。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)jollyjoker[*] けにろん[*] もがみがわ[*]

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