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[コメント] 25年目の弦楽四重奏(2012/米)

つまるところ美しい音楽を知る者はそれから逃れられないのだろう
HAL9000

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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名曲をモチーフにしてさらにカルテットをうまくキャスティングすると味わい深いものが出来上がる。そういう好例になる作品ですね。クラシックファンにもそうでない人にも楽しめて、さらに楽曲そのものへの理解や好奇心を高めることができていると思う。

監督のヤーロン・ジルバーマンが本も書いているということで、クラシックに対する造詣の深さを感じさせる作りであったし実在の四重奏団のエピソードを参考にしたとも語っている。ストーリーとしては実際のところストレートなドラマが続いていって予定調和的なエンディングに向かうのだけど、クラシックを扱う作品が調和を求めるのは自然な流れだろう。それにちゃんとツイストが加えられていて「それ」は成功していたと思う。ホンモノの演奏はさすがに違うな、とは誰もが感じることだったろう。

さて、本作はカルテットの配役がハマっていたと感じた。とりわけフィリップ・シーモア・ホフマンがね、いいんだよね。作中では手っ取り早く“引き立て役”とされていた第2バイオリンの彼が実はもっともドラマチックな役どころで、第2じゃなく第1もやりたい、才能は劣らないはずだ、何劣ってる?、くそっ浮気してやる、やべえバレた、奥さんごめん別れたくない、第1のヤツに娘がやられた、ブチ切れ、でも実際のとこ俺はお前の所有物、さあ演奏会‥、という流れ。 悲しかったのは、感情が一回りして思わずこぼれた「俺はこの25年間お前の所有物だった」というセリフですね。結局はそのとおりでありまた25年という年月は否定出来ないし、実際素晴らしい音楽を実現してきたという自負もあるでしょう。

そうして迎えたラストシーンでエゴイストだった第1バイオリンはサポートする他の奏者への感謝や敬意を新たにし、暗譜による演奏を決意する。それはどちらかと言えば自発的な行為だったようにも思えるが、時間は過ぎていくし人の心も変わっていくもの。自然なことなのだ。アタッカで途切れること無く調律が変わっても続けるしかない。それが人生。

(評価:★4)

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