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[コメント] ガッチャマン(2013/日)

VFXで絶望しなくて済む邦画が出てきたことは評価すべきと思うが、それ以外の部分で圧倒的絶望を感じざるを得ないのはいつになったら解消されるのか。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「ヴィジュアルもクールで、世界観にリアリティを感じたのは初めて」「強烈なキャラは番組終了後も頭の中で生き続けていて、ずっと考えて楽しめるような作品だった」「実写映画化に際して考えたのは、そんな感動体験の再現」

佐藤監督が公式HP中のインタビューで喋っていることを列挙してみた。

これを踏まえて監督に問いたい。

これらの言葉の一つでも、部分でも、欠片でも本作の中に息づいてるものがあるか?

この映画の中でリアリティがあるのはどこなのか、魅力的な強烈なキャラは誰なのか、感動体験をどこに盛り込んだのかぜひ説明をお願いしたい。

はっきり言う。そんなものはどこにもない。

以下、色々「印象的」なシーン、台詞を列挙するが、監督の言葉を頭に思い浮かべながら見ていただきたい。

・ギャラクターは17日間で世界の半分を征服。その後で南部博士は適合者探しを開始。ギャラクターは十分世界を征服できる時間があったのでは?

・そもそもなぜ東京が征服されていない?

・「実体もなく忍び寄る白い影」。実体がないものが忍び寄ったらそれは「幽霊」。

・「適合者は800万人に1人。」「適合者がXウィルスに感染したらギャラクターになる。」全世界人口を70億として、適合者は確率上875人。ギャラクターの構成員は何人??

・パーティー会場の生体認証のシーン。ハック完了してから並びなさいよ。

・イリヤ(中村獅童)はどのような手段を使ってパーティー会場に潜入した??

・ナオミ(初音映莉子)がギャラクターに拉致された時、健とジョーが拉致されなかったのは何故???

・「俺、除隊考えてるんだ」この話結局どうなったのよ。もう長くないんでしょ??

・「もうすぐ世界の六都市が破壊される!」「遅かったら甚平死んでたぞ!!」「戦う理由がわからない!!あなた狂ってる!!」時間ねぇっつってんだろ!!!

・「次のベルクカッツェはあなた」じゃ、あんたどうなるのよ??ベルクカッツェが同時に複数人いるって事???

・「石に光がなくなった状態で私がXウィルスに感染したら殺して、私も殺すから」「俺はもうギャラクターだ!」なら、健はジョーを殺さなければならんだろうが。

・一回キスしたら左半分がギャラクター、もう一回キスしたら全身ギャラクター。ウィルスの感染というものはそんなに器用じゃない。

脚本の渡辺雄介は「アメコミものと同じぐらいのクオリティにした」と言っているようだが、「思い上がるのも大概にしろ」とだけ返しておく。

有名な話だが、2009年に公開された『ヤッターマン』を撮った三池崇史監督のもとには当初『ガッチャマン』がオファーされていたが「『ダークナイト』を撮れる環境・力量がないと無理」と話を蹴り、「そのかわり、ヤッターマンなら出来る」と逆提案している。

ザック・スナイダーはアメコミの大傑作『ウォッチメン』を映画化する際、「他の監督に台無しにされるなら、自分が責任をとってそこそこの作品に仕上げる」というある意味悲壮な覚悟をもって挑んでいる。

原作ものはそのまま映画化するにしても改変するにしても覚悟が必要である。その覚悟があったのか、佐藤、渡辺両名のみならず全制作スタッフは自問していただきたい。

それでも、キャタローラーのような表現を邦画で観られたことは、今後の希望になるように思う。という事でVFXを担当された白組の皆さんの仕事に免じて評価は2とする。

とりあえず佐藤・渡辺ラインは「おはよう忍者隊」でやりたいことやってなさい。それがお似合いだ。

(2013.9.3 シネプラザサントムーン)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)死ぬまでシネマ[*] IN4MATION[*] サイモン64[*]

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