[コメント] クロニクル(2012/米)
圧倒的な暴発の中にあってもなおただよう、切なく、さえない頃の苦い思い。それは本作がまっとうな青春を描いた映画である証でもある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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前半のゆるーい雰囲気、超能力を得て埒もないいたずらとか空を自由に飛びまわるとか、くだらない遊びの中で3人は友情を深めていく。その楽しげな様子を見ていると、もうこのまま青春バカ映画で終わっても、それはそれでいいかとさえ思えてしまった。
しかし現実はやはりそうはならない。いくら学校一の人気者と親友になっても、圧倒的な力を手に入れることができても、身近な悩みのタネは無くならないし、すべてが上手くいくわけでもなく、しくじりやら何やらいっぱい出てくる。
そして傍から見れば、そんなことで、何もそこまで、ということでも当の本人にとっては深刻な大問題になる。
そして動揺する。いくら「頂点捕食者」だと自分に言い聞かせようとしても、そんなに簡単に割り切れず返って逡巡する様は、本当に痛々しいし、誰もが身に覚えのある苦悩ではないだろうか。
そういう姿が丁寧に描けているからこそ、終盤の圧倒的な暴発と力の振る舞いは、そうなってしまうのが本当によくわかる。
自分の拳で、ドアを、壁を殴らなかった者がいるだろうか、手当たり次第にモノをぶん投げて憂さをはらそうとした事がない者がいるだろうか。
そんな当たり前の高校生の姿を描いたこの映画は、紛れもない青春映画だと思う。
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