[コメント] 私の男(2013/日)
激しく家族を希求しながらも、絶対に家族になり得ない「愛」を生きざるを得ない者たち。この二重に否定された関係が紡ぎだす、おぞましくもピュアな「愛」は内へ内へと閉じこもるほどに濃密さを増し、他者を寄せ付けない迫力をはらむ。稀代まれな反・家族映画。
愛人関係が生きる(=存在する)ための共闘関係に発展していった成瀬巳喜男の『浮雲』のゆき子(高峰秀子)と富岡(森雅之)を思い出していた。家族関係を無条件に礼賛する小さな映画が全盛のなかにあって、たまに飛び出すこの手の「のっぴきならない不道徳」さは、近寄りがたい神々しさを放つ。
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